関係に名前を付けたがらない私たち
「7月になったら世界がなくなるんですよ」

「そっかそっか。それは大変だな」

 全く相手にもされなくなってしまった。

 帰宅した私は「誰からも相手にしてもらえなかった」と半べそで耕平に抱きついた。

「あいぼんの相手できるの俺しかいないでしょ」

「うん。私、頭おかしいって思われてるかな」

「多分な」

「耕平もそう思ってる?」

「うん、たまに」

「ひどい」

 うう、と泣き出した私の頭を撫でる耕平は「俺、そろそろ寝ないと明日早いんだって」と顔を覗きこむ。

「うん。シャワー浴びて来るね」

 朝が早い耕平はおやすみ3秒の人だったから、シャワーを浴び終えて部屋に戻った頃には深い眠りについていた。

 狭いベッドに潜り込み、耕平の手に指を絡ませる。眠っていても反射的にそうしてくれるのか、よしよしと私の頭を撫でる耕平の頬に口付けて、

「死ぬときも一緒だよ」

 と、いつも呟いていた。
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