関係に名前を付けたがらない私たち
 だから耕平から言われた現実的な言葉には物凄く傷ついたし、私のことなんか好きじゃないんだ、と拗ねたりもした。

 でも、耕平は「違うよ」と何度も否定していた。

「好きだよ、ほんとに。あいぼんには幸せになってもらいたいって思うよ」

 でも、俺が幸せにする、とは言ってくれない耕平にイライラした。特に結婚したいと力強く思っていたわけじゃなかったけれど、何となく耕平から拒否されたような気がして悲しかった。

 傲慢かもしれないけれど、私の『好き』より、耕平が私に向ける『好き』のほうが割合的に大きくないと嫌だった。

「耕平は私のことそんなに好きじゃないんだね」

「何度も言うけど本当に俺、あいぼんが好きだよ」
< 16 / 67 >

この作品をシェア

pagetop