関係に名前を付けたがらない私たち
「まじで? 仕事どうするの」

 んー、と困った顔で唸る耕平は「とりあえず仕事見つけるよ」

「何の仕事?」

「まだ具体的に決めてないけど友達に声掛けてみる」

 交友関係の広い耕平だから、きっとすぐに仕事は見つかるだろうと大きな心配はしていなかった。
でも、なぜよりによってデリヘル嬢の送迎という職業を選んだのか、私にはまったくもって理解が出来なかった。

 一応、私も夜の世界で働いているから、それがどういう仕事なのか知識はあった。

 デリヘル嬢が待機している部屋からお客さんが待つラブホテルや自宅に送迎するのが主な仕事内容で、後はお金払いの悪いお客さんがいた場合、「払ってもらわないと困りますよ」みたいな対応をする。

 職業に貴賎はないとは言っても、さすがにその仕事は嫌だった。性が近い。女の子の下着姿や裸が耕平のすぐ近くにある。
それを鷹揚に許せる懐の広い彼女が、世の中にどれくらいいるのだろう。私には無理だ。

 けれど私がどれだけ反対しても耕平は「とりあえず、だから。昼の仕事が見つかったらすぐに辞めるよ」と聞く耳を持ってくれない。

「―――デリヘル嬢の送迎?」

 めぐちんに話すと目を真ん丸にされてしまった。やっぱりそうだよね。私は間違ってないんだと安心した。

「えー、あいぼん平気なの?」

「平気なわけないじゃん」
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