関係に名前を付けたがらない私たち
4章

*出会った男はなんかエロい

 放った矢のように時が流れるのは速くって、耕平と出会って2年が過ぎた。
ピーマンみたいに中身が空っぽな関係は継続していて、拗ねた気持ちをぐずぐずに拗らせていた頃、私は遂に浮気した。

 いつものクラブを訪れたときだった。
その日はめぐちんも、他の女の子たちも、お客さんから誘われた二次会でホストクラブに行っていた。

 私も誘われたけれど、ホストっていう気分になれなくて、適当な理由をつけて断った。その足で行き慣れたいつものバーに一人ですたこらとやって来た。

「おっはよー」

「あいぼん、お疲れ。チェリーコークでいい」

「あ、今日は違うのにする」

「珍しいじゃん。何にする?」

 えっとねー、と考えているとき、ドアが開いて、お洒落な3人組の男の子が店に入って来た。
その中の一人、一番背が高くて私好みなストリートファッションの男の子と目が合った気がする。「あいぼん、ごめん。ちょっと何にするか考えといて」

「はーい」と軽い調子で返事して、カウンターに頬杖をついた私は、その3人組に視線を滑らせた。

 例の、私好みの彼が「チンザノのロッソのロック」と言ったので、あ、それだ。それにしようと「私もチンザノロッソのロックー!」

小学生みたいに右手を挙げて言ってみた。

「あ、真似された」

 男の子の声が2席離れた場所から聞こえた。
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