朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「お、おい、ボトルって……飲めるのか?」

せいぜい、グラスワインを頼むのだろうと思っていた。

「大丈夫でしょう?
時間もあるんだし」

俺と違って、撫子はきっと飲めるのだろう。

俺はあまりアルコールに強くない。
父親がかなりアルコールに弱く、その体質を受け継いでいるのが、俺だった。それに対して、うちの女達はかなり強く、母も泉も酔ったところを見た事がない。

軽く乾杯をして飲み始めると、何故か撫子がワインのウンチクを語り出す。

「やっぱり美味し〜!
ソーヴィニヨン・ブランはね、このハーブやグレープフルーツを思わせるようなフレッシュさがいいの、って、兄からの受け売りだけどね」

なるほど……。
確かにフレッシュで、よく冷えているから口当たりがいい。

俺は聞くとはなしに、ただ撫子の話に耳を傾けていた。

よほどワインが好きなんだろう……。

それにしてもよく喋るな。

最初はそう思ったが、それは俺が何も喋らないからで、代わりに撫子が話してくれているのだと気づく。
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