愛するあなたへ〜blue roseを私にください
「緑川です。こちらこそ、宜しくお願いします」
緑川さんは、佐野さんと私に会釈して、社長と一緒に事務所を出て行った。

「緑川さん、素敵でしょ?」
「はい、もしかして、社長の婚約者の方ですか?」
「あらっ?気になるの?」
「い、いえ別にそういう訳では・・・」
普段見ない笑顔と話し方だったから、きっと心を許せる存在だと思った。
「彼女は青羽設計の人事課長の緑川さんよ。社長の大学の時の後輩みたい」
「社長の後輩ということは・・・課長って、凄いですね。社長の隣に似合う人、きっと婚約者の方も、緑川さんのように素敵な方でしょうね」
「そうなのよね。ベタ惚れみたい」
「佐野さんもご存じじゃないんですか?」
「社長は、婚約者の話をすると嫌がるのよ。だから皆、聞きたくても聞かないようにしてるわ」
「わ、私も気をつけます」
あの社長がベタ惚れする婚約者の人ってどんな人だろう。
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