愛するあなたへ〜blue roseを私にください
明くる日、小道さんが無愛想な顔で佐野さんの所にやって来た。
「佐野さん、少しお話宜しいですか?」
「わかりました。会議室に行きましょうか」
少し怒りを感じる小道さんと佐野さんは、会議室に入っていった。

その後10分くらいで出てきて、佐野さんはその足で社長室へ向かって行き、しばらくして席に戻って来た。
「小道さんから退職届が出て、退職手続き進めるからね」
「もしかして、この間のことでですか?」
「本人のプライドもあったんでしょうね。聞いてられないわ」
嫌悪感を含めた言い方で、佐野さんはそれ以上、そのことには触れず、パソコンに向かっていた。

数日後、給茶室に行くと、小道さんとばったり会った。
「日比野さん、ここで頑張るの?」
「はい、まだまだ何も出来ていませんし」
「あの社長と一緒に仕事してて、嫌味とか言われない?」
「いえ、そんなことはないですけど」
「優しくて紳士に見えたけど、結構、冷酷なところあるわよ。意地悪言ったりしてさ、ちょっと格好良くて仕事が出来るからって、何なのよ。偉そうに」
私は喉元まで出掛けた言葉を呑み込んだ。
あなたは何をしに、ここに来ていたんですかと・・・
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