あの日溺れた海は、

「亮がしてくれたんじゃないの?」
 
 
「いや、俺じゃない」
 
 
 亮は俯いたままそう言った。そうでないなら誰なんだろう?亮に誰がしたか知らないかと聞いたが、知らない、と答えると立ち上がってそのままどこかに行ってしまった。
 
 
 もしかして…
 
 自分の記憶がないうちに自分でやっていたのだろうか?
 
 馬鹿らしい考えだなと思うけどそれ以外に可能性がある説は思い浮かばなかった。
 
 でもそれだとあの時の温かい感触の説明がつかない。
 
 誰が処置してくれたのだろうか。そして、誰がわたしを包み込んでくれたのだろうか。
 
 
 ううん、と頭を抱えて悩んでいると。
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