あの日溺れた海は、
「わかりましたか?」
一通り解説し終えてそう言う先生に、勢いよく首を縦に振ると、うん、と先生も満足げに頷いた。
「後は大丈夫そうですね。じゃあ…」
「あの、先生。」
「ん?」
「小説の感想、ありがとうございました。…すごく、たくさん褒めてくれて、励みになりました。」
そう言うわたしに先生は「うん。」と答えると、そのまま続けた。
「副担任として、井上さんの夢を応援すると言ったでしょう。」
何も特別なんかじゃない、と言われたようで少しショックだった。
本当に、そうなんだけど。頭の中ではわかっているのに、心は受け入れてくれなかった。
「じゃあ。」
「つかさせんせえ〜!いる〜??」
泣きそうになってるわたしに気づくはずもない先生がそう言って立ち上がろうとした瞬間、鼻にかかった声が静かな図書室の中に突如響いた。
その声に先生は一気に顔を強張らせると、図書室の奥の本棚の影に颯爽と逃げていった。