相思相愛マリアージュ(後)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
でも、まだ妊娠初期。
俺達の赤ちゃんは妊娠九週目。
まずは流産率が下がる十二週の壁を超えないと。

絨毛膜下血種が早々に消えるコトを願った。

「ゴメンなさい…」

「いいんだよ…ある程度予想していた症状だから…」

その日の夜、遥は大量出血を起こした。安静していれば、大丈夫だと思うけど…遥は赤ちゃんの命を預かる仕事を担っている。
責任感の強い遥は絶対に無理をしてしまう。
彼女の性格を知り、俺の判断で入院させた。

「心配はしないで…赤ちゃんの心音は聞こえるし…赤ちゃんは大丈夫だ」

「奏弥さん」

遥の不安を取り除こうと俺は笑顔で励ます。

俺は遥に付き添った。
「此処に居て、大丈夫?」
「大丈夫だ。まぁ、呼ばれたら、すぐに行くけど…遥のそばに居る…」
二ヵ月間…俺は遥のそばに居られなかった。
その時間を取り戻すように片時も遥から離れたくなかった。
遥の眠るベットの直ぐそばに椅子を置き、腰を据え、ずっと手を握りしめる。

少し熱めの彼女の手。妊娠すれば、基礎体温が上がり、微熱が続く。

この温もりを感じる間は流産の心配はない。
流産の兆候が見られたら、基礎体温が下がっていくから。


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