従者は惜しみない愛を捧げる―――流浪の落ち延び姫と双頭の獅子
 次の瞬間、リナルドは上体を曲げ、その腹部に焼けた火かき棒を押し当てた。まさに双頭の獅子が彫り込まれた場所だ。

「くぅっ」

 苦悶の呻きと皮膚が焼ける臭い。

「リナルド!」

 アマーリアは寝台から飛び下り、リナルドに駆け寄った。

「やめて!」

 しかしリナルドはアマーリアを振り払うと、なおも恐ろしい行為を続けた。

「リナルド、だめよ!」

 彼が火かき棒を投げ捨てたのは、さらに数秒してからだった。

 腹部に広がる赤黒い痕を見て、アマーリアは言葉を失った。
 早く火傷を冷やさなければ、たいへんなことになる。アマーリアは涙を浮かべて、懸命に周囲を見回した。

「ひどい火傷だわ。ああ、どうしたらいいの?」

 ところが苦痛に顔を歪めながらも、リナルドは手を差し出してきた。

「アマーリア様……俺はもう王の守護騎士ではありません」
「だけど」
「どうか安心してください」

 忌まわしい刺青は自分の手で葬った――緑の瞳は誇らしげに、そう訴えていた。

「俺は大丈夫です。この命に代えても、必ずあなたをお守りします」
「リナルド……リナルド!」

 アマーリアは震えながら、恐ろしい、けれどもそれ以上に恋しくてならない男の手を取った。
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