従者は惜しみない愛を捧げる―――流浪の落ち延び姫と双頭の獅子
「ですが、どうかご安心ください。あなたを陛下には渡さない。内通者が密告しても今まで逃れてきたように、これからも必ずお守りいたします」

 その言葉に、アマーリアは思わず身を起こす。

「あ、あなたは王の守護騎士なのでしょう? もしも裏切れば、家族にも累が及ぶのではなくて?」
「家族はおりません。同じく守護騎士だった兄は、俺と戦って命を落としました。腕が立つ人で、俺もこの傷を負いましたが」
「兄君と……戦った?」

 リナルドはアマーリアの処遇を巡って兄と対立し、ガルディニの前で剣を合わせたという。

「兄はあなたを即刻捕らえるべきだと主張したが、俺は反対した。その勝負に勝ったことで、陛下もアマーリア様を泳がせ、俺に見張らせることに同意されたのです」
「だったら、なぜわたくしを引き渡さないのです?」
「お慕いしているからです。湯治場でお見かけした時からずっと」

 ふいにアマーリアは、リナルドが鉄の火かき棒を握っていることに気がついた。ずっと炙られていたのか、先端がすっかり赤くなっている。

「リナルド、何を――」
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