従者は惜しみない愛を捧げる―――流浪の落ち延び姫と双頭の獅子
城を出て、二カ月後のこと。
ようやく見つけた郊外の空き家に潜んでいた時、護衛のルキノがアマーリアの前にひとりの少年を追い立ててきた。
「どうしたのです、ルキノ?」
「こいつが外で様子を窺っておりました。どうやらしばらく前からつけていたようです」
追手を警戒していたルキノは少年の背に剣先を向け、今にも殺しかねない勢いだった。
ところがそんな状況にもかかわらず、少年は怯える様子もなく、静かな視線を向けてきた。
「ご機嫌麗しゅう存じます、王女様」
そのひとことで場の空気は一気に張りつめたが、アマーリアは別のことに気を取られていた。
「あなた、そのお顔は……」
少年は美しかった。
長身の引き締まった身体つき、艶やかな黒髪、澄んだ緑の瞳――まるで著名な画家が描いたかのように完璧なのに、左頬に生々しい傷痕が刻まれていたのだ。
「お見苦しいものをお目にかけ、申しわけございません。先の戦で――」
「また新しい傷だわ。お気の毒に。ひどく痛むのでしょう?」
「いえ、大事ございません」
ようやく見つけた郊外の空き家に潜んでいた時、護衛のルキノがアマーリアの前にひとりの少年を追い立ててきた。
「どうしたのです、ルキノ?」
「こいつが外で様子を窺っておりました。どうやらしばらく前からつけていたようです」
追手を警戒していたルキノは少年の背に剣先を向け、今にも殺しかねない勢いだった。
ところがそんな状況にもかかわらず、少年は怯える様子もなく、静かな視線を向けてきた。
「ご機嫌麗しゅう存じます、王女様」
そのひとことで場の空気は一気に張りつめたが、アマーリアは別のことに気を取られていた。
「あなた、そのお顔は……」
少年は美しかった。
長身の引き締まった身体つき、艶やかな黒髪、澄んだ緑の瞳――まるで著名な画家が描いたかのように完璧なのに、左頬に生々しい傷痕が刻まれていたのだ。
「お見苦しいものをお目にかけ、申しわけございません。先の戦で――」
「また新しい傷だわ。お気の毒に。ひどく痛むのでしょう?」
「いえ、大事ございません」