天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない～独占欲に火がついて、とろとろに愛されました～

「詳しいですね。調べたんですか？」
「ホテル出る前にちょっとね」
「先生ってそういうの調べないタイプかと思ってました」
美味しければラッキーって言いそうなのに意外。
「何事もリサーチは重要。手術だってそう。あらゆるリスクを想定しないといけない」
片肘をついて穏やかな目でそんな説明をする先生を見て思った。
この人は努力の人だ。
私はずっと思い違いをしていた。
天才でなにもしなくてもなんでも出来る人かと決めつけていた。
先生の自信も余裕も全て日頃の努力によるもの。
「そうですね。ショートケーキとコーヒーにします」
ニコッと笑う私の目を見て、氷室先生は満足気に頷いた。
「いいチョイスだ。俺はコーヒーだけにしよう」
店員を呼んで注文をすると、すぐにケーキとコーヒーが運ばれて来た。
いただきますをすると早速ケーキから食べる。
「あっ、生クリームが絶妙〜。ほんのり甘くて、これならホールでも食べられそう」
美味しいケーキに悶絶する私を見て先生は「よかった」と言ってフッと微笑し、優雅な仕草でコーヒーを口に運んだ。