天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
《ああ。樹も田辺も腹黒な性格っぽいよな。思考が同じだから相手の考えが読めるってわけか》
隼人にズケズケと言われて苦笑いする。
「まあ否定はしないけど、そこは策略家って言ってほしいな。ところで、今日の夜一緒に食事でもどう?たまには茉莉花ちゃんと食事するのもいいんじゃない?」
茉莉花ちゃんを餌にして誘ったら、彼は素直にオーケーした。
《わかった。スケジュール調整する》
「じゃあ、店予約して知らせるよ。また後で」
そう言って電話を切って、その日の夜は茉莉花ちゃんと隼人と俺の三人で焼き肉を食べた。

それから六日経ったが、田辺は現れなかった。
俺の読みが外れたかと思ったが、隼人には引き続き彼の行動を見張ってもらった。
そして、今日ついに田辺が動いた。
俺が大学病院で執刀を頼まれた日で、手術が終わってスマホを確認したら隼人から着信とメッセージが何件も入っていた。
時刻は午後六時十二分。
隼人の最初のメッセージを見たら、【茉莉花が田辺に攫われた。今追ってる】と書かれていた。
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