天才脳外科医の愛が溢れて――もう、拒めない~独占欲に火がついて、とろとろに愛されました~
別荘に大きなベッドやドレッサーを持ち込んだということは、そこに茉莉花ちゃんを住まわせる気なのだろう。
退院した祖母のために用意するなら、介護用のベッドを選ぶはず。
だが、ちょっと待てよ。
奥多摩に茉莉花ちゃんを連れて行くと考えるのは早計かもしれない。
田辺は俺が茉莉花ちゃんと付き合っていることを知っているはず。
彼女との仲は今や病院でも公認だし、うちに出入りしている田辺は絶対に噂を耳にしているだろう。
だとしたら、俺が田辺の身辺を調べることだって予想はしているに違いない。
奥多摩と俺に思わせておいて千葉の別荘に茉莉花ちゃんを連れて行く可能性だってある。
《もう奥多摩に集中して俺の部下に見張らせておくか?》
隼人の提案にしばし考えて、「いや、館山の方も見張らせておいてくれるかな。そっちも気になる」と答えた。
《わかった。なにがあっても動けるようにする》
「助かるよ。俺の勘ではそろそろ田辺が動くと思う。相手を油断させておいて、横から攫うって思考だと思うんだよね、彼」
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