猫を拾った
Prolog
ある雨の日、バイト終わりの事だった。

その日は父が迎えに来てくれるはずだったのだが、電話が繋がらず、自力で帰宅することに。


私の家は父子家庭で、幼い頃は父との仲が悪く、母との仲が良かった。

しかしいざ離婚して気づくのは父との方が相性が良いこと。


母は完璧主義者でなんでも完璧にやらせようとする代わり、いつも褒めて甘やかしてくれる。

父はどうでもよさげで、満点をとっても横目ですら見ない。


幼い頃は母親にいっぱい甘やかして欲しくて頑張っていたのだが、今となれば馬鹿らしいと感じる。


そもそもの離婚した理由は母の不倫。
父の素っ気なさがきっかけだった。


でも下手に干渉してくるより、放置されていた方が楽だ。


父も、迎えに来てと頼んだことはしてくれる。
それに衣食住も困ったことは無い。

無理に完璧を追求する訳でもなく、私は幼い頃父とあまり関わらなかったことを悔やんだ。



人と人の間を縫うように通り抜ける。
今日はやけに騒がしい。

家に近づくほどその騒音は大きくなる。


そして家の前に着いた時、私はその騒音の発生源がパトカーであると知った。
< 1 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop