猫を拾った
外に出ると、秋なのに少し暑かった。
それはきっと、サッポロにいたからだ。

トウキョウのような暑さには、慣れていない。



「ねぇ、どうしてそんな急に?」


「紫、丸一日寝てたの」


「...え?」


「アキさんは、あの男は、紫に睡眠薬を使ってる」



ご飯にね、そう言った。
なぜ丸一日...

そう聞くと、優里さんは少し手首をさすりながら答える。



「今日、律さんの機嫌が悪くて...私が、マンションに行けなかったから」



だから、薬を飲ませて丸一日眠らせ、私を置いて仕事に行ったらしい。

今日私が起きるまで仕事に行かなかったのも、睡眠薬の影響がどれだけあるかを知るためだった。



「紫、あの男は、狂ってる。誰よりも、律さんよりも」



私の手をつないで、少し早く歩く優里さん。
前に止まったタクシーに飛び乗ると、キタカントウまで向かうよと私に伝えた。



「アオモリからサッポロなら、2時間くらいで行ける」



だから大丈夫、そう言って優里さんが私の方を触る。

私は突然のことに、ただ混乱するだけだった。
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