御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
まぁ、これは一流ホテルの広報ならではの営業スマイルなのだろうが、ロマンス詐欺に勝手に引っかかってしまいそうなくらい彼の笑顔に心が吸い寄せられてしまう。

私の方向音痴を独特という表現に変えているのは、けなされているようにも思えるが、まあよかろう。

明日から2日間、英語もフランス語も全くできない私の為に特例で案内役を付けてくれると聞いていたのでその案内役が彼だったようだ。

1時間の迷子という大幅な時間のロスをした私はスマホを部屋で充電しつつその間にこの周辺を歩こうとしていただけなのでそれを彼に伝えた。

「それであれば尚更私がお供します。また迷子になられても困りますから」と本当に迷惑そうに言われた。

「すみません。お願いします」と言って一緒に外に出た。

日本を出たことがない私にはこんな西洋風の建物は大きなアミューズメントパークかショッピングモールでしか見たことがない。

迷子になっている時とは異なり、街中を歩くだけでウキウキする。

今にもスキップしてしまいそうな私に彼は、「私が案内しますので行きたい場所を教えていただけますか?」と尋ねてきた。

彼にとってはこの景色も単なる日常の一つで心踊らされるものではないのかもしれない。
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