御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
性悪説なら彼は私をエッフェル塔のてっぺんから突き落とそうという魂胆があるとも考えられるが、まぁ、彼にそんな恨みを持たれるような行為はしてないはずだし、殺すなら簡単に逃げられる所で殺すだろう。

それにもしここで死ねるならそれはそれで本望。

「ありがとうございます」

私は彼について行きエレベーターに乗った。

一番てっぺんにある第三展望台に着くと、パリが見渡せる絶景が見えたが、足がわなわな震え始めた。

私が壁に張り付き足を踏み出せないでいると「普通ですね。降りましょうか」と言って第二展望台に降りるエレベーターに乗った。

普通なはずがない。
私の先を歩いていた彼は確実に景色に見入っていた。きっと感動していたんだと思う。

それなのに私が怖がっていることに気付いて降りることを選択してくれたのだ。

3000円も払って、私の為にものの数分で降りてくれるなんて優しい。

私は構えすぎていたのかもしれない。

人の親切心を疑うなんて私は何をしているのだろう。

もうそんな気遣いさせてはいけないと思い私は第二展望台で足の震えを何とか抑えながら歩いた。
壁に張り付くまではしなくていいほどの高さにはなったがそれでもやはり怖いものは怖い。
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