御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?
ゆっくりと一歩一歩慎重に足場を確認しながら歩く私の斜め前を彼は、時たまスマホを操作したり、文字を打ったりしながら私のペースに合わせるようにゆっくりと歩いてくれている。

パリの美しい景色ではなく、スマホを操作しているその美しく優しい彼を凝視していると「ああ、そういえばスマホないんですね」と言って適当に写真を撮り始めた。

「いいえ、お気遣いなく。目に焼き付けますので」と私は言い、彼の邪魔にならないよう周りの日本人が指さしてあれがルーブル美術館だとか凱旋門だなどという会話を頼りに景色を楽しむことにした。

パリの絶景を楽しんだ後、ギフトショップを回っていると丸く可愛いこれぞフランスというカラフルなお菓子が目に入った。

「パリはやっぱりマカロンなんですね」

「お好きですか?」

「もちろんです」と私が笑顔で言うと、それを催促だと思ったのか彼は全種類を購入した。

もちろん私は何度も断ったが、「私は食べないので要らないなら捨てるしかありませんね」と言われ、ありがたく頂くことにした。

一体この人は何故私にこんなにも尽くしてくれるのだろうか。
仕事だからと言ってこんなになんでもかんでも買ってくれるのか? 

いよいよ自分の身が心配になってきた。
売春? いや、それは無いか。じゃあ臓器売買?
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