御曹司にビジネス婚を提案されたけどもしかしてこれは溺愛婚ですか?

同居始めます

気が付くと体を包み込むような柔らかなベッドの上に横たわっていた。

「気が付きましたか?」

ベッドの傍には玲音が座っていた。
仕事をしていたのだろう。膝の上にはパソコンが乗っている。

私は頷き、今いる場所を見渡した。壁一面に本が並び、背表紙のほとんどが横文字だ。

窓から見える景色から推測するにここはおそらく2階だろう。

「私の部屋です。と言っても今は書庫代わりですが」

「そうですか。あの、私」

「疲れていたんでしょう。急に倒れましたが私の膝の上に倒れてきたのでどこも打っていませんよ。安心してください」

膝の上にって私何してんだ!

「一応母がリストアップしていた部屋がありますので一緒に住めないのでしたらそちらを借りてもいいですが、どこも5階以上なんです」

玲音はそう言ってパソコン画面でいくつか物件情報を見せてくれた。

全面窓ガラスの部屋は省いているらしいが確かに低くて5階、高いものだと23階など私には縁のない階数だった。

会社の寮と偽って提供してくれる予定だったようだ。その事は事前に玲音にも話をしていたらしい。

「色々ありがとうございます。ちなみに咲羽さんのお家はどのような感じでしょうか? 私がいても邪魔になりませんか?」
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