S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「あ、これ、いいの?」
「あたり前だ。全部菜乃に買ってきたんだから」
朋久はそう言いながらパウダールームに入っていった。
なんだかんだと意地悪をするが、結局優しいからずるい。同居するようになってからは、ずっとこの繰り返し。嫌いになれたらいいのに、そんな気配はまったくない。
形だけの夫婦になり、ますます彼から逃れられなくなってしまった。
(ほんとトホホだよ)
この先どうなるのか、考えると不安になる。
食後のデザートにしようと、箱をテーブルの端に取り皿とフォークと一緒に置いた。
着替えて戻ってきた朋久はワインセラーからスパークリングワインを取り出し、菜乃花の向かいに腰を下ろす。コルクを抜き、ふたつのグラスにワインを注いだ。
「ありがとう」
淡い麦わら色のワインの中に美しく細かな泡が立ち上る。
「じゃ、乾杯といくか」