S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
朋久が菜乃花の顔を覗き込む。
「うん。私たちって夫婦に見えるのかなって」
朋久の瞳が揺らいだ。
「それなら、しっかりそう見えるようにキスでもするか」
「なっ、なに言ってるのっ」
不敵に笑う朋久の腕をトンと叩く。キスというワードに反応して耳も頬も熱い。
菜乃花の反応に彼がククッと声を立てる。
「笑うなんてひどい」
唇を尖らせたら頬を軽く抓られた。
「さてと、ではド定番の観覧車でも乗るか」
「ええっ、もうそれいっちゃう?」
観覧車は終盤近く、ふたりの気持ちが盛り上がったところで乗るものではないのか。
(いつ乗ろうが、朋くんの気持ちが盛り上がることはないだろうけどね……)