S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「高校生のときは大丈夫だったんだけど」
「年老いたってわけか」
「失礼なんだからっ。朋くんより八歳も若いんですからね?」
「たしかに」
自ら年齢差を持ち出すなんて失言だったと後悔した。歳の差を一番気にているのは自分のくせに。
マシンから降りて園内をゆっくり散策する。こうして朋久と手を繋いで歩けるなんて嘘みたいだ。
(私たち、ちゃんと夫婦に見えるのかな)
回りを歩くカップルを眺めて、自分たちも仲がよさそうだろうかと考え事をしながら歩いていたら、突然手を解いた朋久にぐいっと腰を引き寄せられた。
「……っ!」
朋久の片腕の中に抱き込まれ、心臓がひっくり返るほどの衝撃に襲われる。
ハッと息を飲むと同時にギリギリで男の人がすれ違っていく。よそ見をしていたのか、その男性も驚いたようにパッと身を翻した。
「しっかり前を向いて歩け」
「ごめんなさい。考え事してた」
「考え事?」