S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「それなら俺たちの関係も本格的にすればいい」
「……どういう意味?」
「本物の夫婦になろうと言ってる」
「本物の、夫婦……?」
朋久がどういうつもりなのかわからず、同じ言葉を繰り返して問い返す。
「菜乃が好きだって気づいた」
それは予想もしていない告白だった。
(朋くんが私を……好き?)
いつものジョークと違うのは、声の調子と甘い眼差しでわかる。でも、すぐに信じられるかといったらそうではない。
なにしろ小さい頃から朋久一筋。それこそ二十年近くも彼しか見てこなかったのに、朋久のほうは振り向く気配がまったくなかったのだから。
ホワイトデーの食事デートに結婚指輪の登場、さらには朋久の想いまで打ち明けられ、頭の中がショートしそうになる。
瞬きも忘れて口は半開き。間抜けな顔なのも気づかないくらいに衝撃を受けていた。
「菜乃? 聞いてるか?」
「き、聞いてるけど……朋くんが私を好きなんて。……いつもみたいに冗談?」