S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「でも本当なの? 本当に朋くんのお父様と母はそういう関係だったの?」
写真はいかにもそうだが、信じたくない気持ちのほうが大きく、確認せずにはいられない。
「残念ながらそうだ。信吾はそれを承知のうえで珠美さんと結婚したんだよ」
「そんな……」
朋久からも、彼の父親からも、そんな話は一度も聞いたことがない。そんな仲だったのなら、両親が結婚すると同時に疎遠になるほうが自然ではないのか。
元恋人同士のふたりが、それぞれに家庭があるのに付き合いを続けていたのが信じられない。それが不倫だったらなおさらだ。
「ちなみにその事実を知っているのは私だけだ。京極の奥さんはもちろん、朋久くんも知らないだろうよ」
不倫はみごとに隠し通していたのだと廉太郎が言う。
「……おじさまは、父や母から相談されたの?」
「相談というか……報告だな」