S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

ふたりが不倫関係にあっただけでなく、実は父親が違うと言われて素直に受け入れられない。生前の父は、菜乃花をとてもかわいがってくれていたから。


「菜乃花ちゃんは、本当に京極浩平と珠美さんの子なんだ」
「それならどうして京極のおじさまは自分の息子と私の結婚を許したの?」


腹違いの兄妹なら結婚を阻止して当然だし、それ以前に、昔不倫していた相手の娘と自分の息子との同居に反対するほうが自然ではないか。
ところが浩平は、結婚の報告をしたときに手放しで喜んでいた。


「京極浩平は知らないんだ、菜乃花ちゃんが自分の娘だとね。信吾と結婚することになったときに、珠美さんははじめて京極の子どもを妊娠していると知ったんだ」


廉太郎によれば、結婚を思いとどまろうとした珠美を説得し、自分の子どもとして育てると信吾が決断したのだと言う。


「不倫していたうえ、そのときに授かった子どもだったのに、別れた後も京極のおじさまたちと交流を持っていたなんて……」
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