S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
例の鑑定書だ。昨夜、ダイニングテーブルに置き去りにしたままマンションを飛び出したことを今さら思い出した。
朋久の目につく場所に置き忘れるなんて、どうしようもない失態だ。心臓が大きく跳ね、鼓動の高鳴りが激しくなる。
「違うの!」
なにがどう違うのか、自分でもわからない。朋久に大変な事実を知られてしまったため、咄嗟に意味不明の言葉が口から飛び出した。
「どうして俺と菜乃の血の繋がりを調べる必要があった? 若槻廉太郎にでたらめな話を吹き込まれたんじゃないのか?」
「……でたらめ?」
「アイツになにを言われた。全部話せ」
朋久は座っている菜乃花の元に跪き、菜乃花の両腕を掴んだ。
体を揺らされたが、あんな話は朋久にできない。首を横に振り、唇を引き結ぶ。
鑑定結果は知られてしまったが、調べる原因となった母親の不倫は言えない。朋久の家族の幸せを壊したくはなかった。
「菜乃! 話せ、話してくれ!」