S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
背後にある窓から光が入るせいか、後光が差しているよう。そんな彼を襟の金バッジがさら引き立たせる。
「京極先生、おはようございます」
もちろんマンションでも挨拶は交わしているが、今日所内で顔を合わせるのははじめてだ。
「菜乃、こんなところまでどうした」
「先生、ここでは若槻とお呼びください」
「菜乃はお堅いな」
クスッと笑い、立ち込めていた静かな空気が優しく震える。
「堅い、やわらかいの問題じゃありません」
「で?」
「……あ、これを武本先生に」
一瞬なにを聞かれたのかわからず目を瞬かせたが、すぐに思い出す。
手にしていたファイルを朋久に見せたら、彼は菜乃花の手からパッと取り上げた。
「ああ、四月からはじまる研修のスケジュールか。そういえば俺も菜乃たちのときに一度だけ講師をしたことがあったな」