S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

朋久は菜乃花を引きはがして要請した。


「なにをするの?」


冷酷な言い方が気になり聞き返す。


「なにって、このままにしておけるか。菜乃を傷つけたらどうなるか思い知らせてやる」
「でも……」


話が全部でっちあげだとわかり、朋久と離婚せずに済むのなら、菜乃花はもうそれで十分だ。


「ほら、早く」


そばに置いてあった菜乃花のバッグを膝の上にのせる。スマホを取り出して電話をしろと言うのだろう。


「菜乃はもういいのかもしれないけど、俺の気が済まない。いいか、これは菜乃花ひとりの問題じゃないんだ。俺だけじゃなく、お互いの両親も巻き込んだ事件でもある」


菜乃花ひとりが納得すればいい問題ではないと言う。
優しい口調でありながら顔は真剣。その表情の裏に沸々とした怒りも感じ、このまま朋久を引き下がらせるのは無理だと悟る。
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