S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
そういえばそうかもしれない。今になって考えたら、まるで後から差し込んだように不自然だった。
父が亡くなったときに一度開いた記憶はあるが、そのときに写真はなかったから。
「なんで俺に相談しなかったんだ」
「幸せな朋くんの家庭を壊したくなかったの」
それに尽きる。お世話になった三人だけは絶対に傷つけたくなかった。
「バカ」
朋久が菜乃花を抱きしめる。
「ごめんなさい……」
すべてが嘘だったと知りホッとすると同時に、朋久と離れずに済むのだとわかり胸が熱くなる。菜乃花を抱く腕の強さを実感して、喜びで体が震えた。
「許せない」
嫌悪感が滲んだ冷ややかな声で朋久が苦々しく呟く。
「菜乃、若槻廉太郎に連絡してくれ」