S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「褒めてるんです。その父を持ってすれば、京極さんも私との結婚を前向きに考えてくれるんじゃないかってずるい期待をしました。でも、あの日ホテルでおふたりの仲睦まじい様子で完全に白旗。京極さんの自然な姿を見て、菜乃花さんには敵わないと」
綾美は、ホテルでは決してなかった優しい笑みを菜乃花に向けた。
菜乃花は恐縮してぎこちなく微笑み返す。
「今日はこちらでお食事を?」
「いえ、知り合いに用事があって来たのですが、それが済んだので帰るところです」
「そうでしたか。では今度ぜひ、おふたりでゆっくりいらしてください」
ホテルで会ったときにはどことなく敵対するような態度だった綾美は、とても晴れやかな表情をしていた。朋久を完全に吹っ切ったのだろう。
仕事があるからと立ち去る綾美を見送り、菜乃花たちは店を出た。
「朋くん、本当にありがとう」
車に乗り込み、改めてお礼を言う。
「朋くんが真実を暴いてくれなかったら、私……」