S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
「綾美さんじゃないか。ここでなにを?」
やはりそうだった。清楚な雰囲気はそのまま、相変わらず美しい。
先ほど菜乃花たちを案内した女性と同じ着物ということは、ここで働いているのだろうが、朋久からそんな話は聞いていなかった。
「じつは大学を辞めて、ここで働きはじめたんです。父の庇護下から出ようと決意して」
「そうでしたか」
「もういい歳ですし、いつまでも父の背中に隠れているばかりでもいられませんから」
「接客業は苦手かと勝手に思っておりましたが」
(そんなはっきり言っても大丈夫なの?)
率直な感想に驚いて隣から朋久を見上げたが、菜乃花の心配をよそに綾美は美しい微笑を浮かべた。
「私、京極さんのそういった歯に衣着せぬところをお慕いしていました。教授の父の威光で遠慮がちな方ばかりだったものですから」
「すみません、口が過ぎましたね」
急いで謝る朋久だが……。