S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
どこがおかしいのかは菜乃花もわからないが、なんとなく挙動不審だ。
(変なの。……でも朋くんが普通だっていうんだから気のせいなんだろうな)
気を取りなおしてシートに深く体を預ける。エンジンが掛けられ、車が発進した。
「あ、そうだ、朋くん、懐かしい人に会ったの」
「懐かしい人?」
「充くんって覚えてる?」
菜乃花の自宅にもたまに来ていた充は、朋久も何度か会ったことがある。
「ミツル?」
「うん、私のはとこの」
「……あぁ、アイツか」
朋久も思い出したらしく、小刻みに頷く。
「さっきのレストランに行く途中でね」
「元気だったか?」
「うん。高校のとき以来だから、スーツ姿で大人っぽくなってた」