S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
菜乃花はどうしても朋久と比べてしまうため、同い年の充は子どもっぽく見えたものだが、社会人になればさすがに成長するものだ。
「なんだって?」
「なんだって……あ、ううん、べつになにも」
充の『働いてるなら、アイツんとこにいる必要もないんじゃないか?』という言葉が一瞬頭を過ったが、敢えて口に出さずに飲み込む。
ずっとこのままではいられないかもしれないが、朋久からなにも切り出されないのを逆手に取り、先延ばしにしたいと考えてしまう。
(私、ずるいな……)
ただ朋久のそばにいたいという自分勝手な願いを優先するのだから。充の言うように、朋久は迷惑に感じているかもしれないのに。
「コンビニ寄るけど、なにかいるか?」
「ううん」
「ほんとになにも買ってこないぞ? 期待するなよ?」
「大丈夫だから。ありがと」
念押しする朋久にクスクス笑いながら返しているうちに、コンビニで車が止められる。
ものの数分で戻ってきた朋久は、ミネラルウォーターのペットボトルを菜乃花に差し出した。