S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

ほかにも持っているのではないかと彼の手元を目で探ったが、袋は提げていない。


「それで十分。こんな時間に甘いものを食べたら虫歯になるぞ」
「そうやってまた子ども扱いするんだから。ちゃんと歯磨きしますー」


喜んだのも束の間、保護者ぶられてガッカリしながらチョコレートの包みを開いて「いただきます」と口に放る。
チョコとビスケットの相性は抜群、やっぱりおいしいとニコニコしながら食べていたら、横から視線を感じた。車は赤信号で停車中だ。


「どしたの?」
「菜乃は変わったな。いや、変わったのは俺なのか?」
「どっちなの」


首を傾げる朋久に鋭くツッコミを入れる。


「菜乃はかわいいって言ってるんだよ」
「か、か、かわいい!?」


幼い頃ならともかく、大人になって朋久からそんな言葉を掛けられたことはないため動揺する。胸が激しく高鳴り二の句が継げない。
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