S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う

『今度はしっかり登録しておいてくれよ?』


あまり必要性は感じないが、「うん」とひとまず返す。


「それでどうしたの?」
『べつに用事はないけど、菜乃花の声が聞きたくなって』
「えぇっ? どうして?」


聞き返したものの、廉太郎の言っていた言葉を思い出した。家で菜乃花の話ばかりしていると。


『どうしてって、この前久しぶりに会ったし、もっと話したいんだよ』


意味深な発言をされて言葉に詰まる。上手な切り返しが見つからない。
数日前に彼の父、廉太郎から妙な話をされたせいもあるだろう。

(困ったな、どうしよう……)

普段からこの手の話題はちょっと苦手だ。朋久に子ども扱いされるのは、そんなふうに慣れていないせいもあるのかもしれない。


『菜乃花は気づいてなかったのかもしれないけど、昔、菜乃花のこと好きだったんだぞ?』
「す、好き!? 私を? 充くんが?」
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