S系敏腕弁護士は、偽装妻と熱情を交わし合う
大きな声で聞き返した。思いがけず過去の恋心を打ち明けられ気が動転する。
あくまでも昔話に過ぎないだろうが、想いを聞かされて戸惑わずにはいられない。
オロオロしていたら、耳にあてていたスマートフォンが不意に菜乃花の手からすり抜けた。
(――えっ!?)
驚いて振り返ったら、そこに朋久の姿がある。彼が菜乃花からスマートフォンを取り上げたのだ。
「朋くん? あの……?」
状況がさっぱりわからずにいたら、朋久はそのスマートフォンを自分の耳にあて話しはじめた。
「充くん、ご無沙汰してますね。京極朋久です。覚えていますか?」
電話の向こうで驚いた充の声が漏れ聞こえてくる。明瞭ではないが、困惑しているのはたしかだ。
「今度お茶でもいかがですか? ……え? いえいえ、菜乃も一緒ですよ。充くんが私とふたりきりがいいのであれば、もちろんそれでもかまいませんが。じっくりふたりで話すのもいいかもしれませんね」