笑顔で君に向けて
帰り際
『朝沙日ちゃん、ちょっと良い?』
と声をかけられ、美依には帰ってもらった。
「何ですか?」
恒星先輩は少し、照れ臭そうに
「櫻井ちゃん、可愛かったね」
と言ってきた。
私は、鈍器で殴られたような衝撃が頭に走った。
「な、なんでそんなことを?」
ぎこちなくなった。
「いーや。櫻井ちゃんの連絡先、教えてくれない?」
その言葉でわかった。
恒星先輩は美依のことが好きになったんだ。
当たり前だよね?美依は可愛いから。
「はい。良いですよ。後で送っときますね!」
無理に笑顔を浮かべて。
「ありがとー」
「じゃあ、私は帰りますね?」
泣きそうになるのを堪えた。
「うん、僕に何か手伝えることがあったら言ってね!協力するよ!」
満面の笑みで言った言葉は私を更に傷つけた。