みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「叔父さんに逃げられた後、途方にくれてどうしたらいいかわからなかった。両親と住んでいた家はまだそのままだったから、とりあえず雨露はしのげたけど、妹の病院の費用もかかるし、おれの手元には、親が残してくれた百数十万の貯金しかなかったから、当座はしのげてもすぐ底をつくのは目に見えていたし……」

 回された大洋の手に少し力がこもる。

 その手に自分の手を重ねて、わたしは言った。
「いいんだよ。話したくなかったらもう話さなくても」

「いや、美羽さんには全部知ってほしい。こんな話、聞くのいや?」

「そんなことない。でも、思い出すのがつらいんじゃないかと思って」
「ぜんぜん。大丈夫」


 遠くで雷が鳴りだした。
 ぱらぱらと窓を叩く雨音がして、それからザーッと強く降り出した。

 雨だね、とつぶやくと大洋は「ああ」と短く答えてから、また話を始めた。
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