みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
***

 新聞配達のバイクの音がするころに、わたしはベッドを抜け出して帰る支度をはじめていた。

 音を立てないように静かに出て行こうとしていたら、大洋がごそごそ動き出して、起きてきた。

「帰るの?」
まだ寝ぼけた声。無理やり目を開けようとしている。

「今日、仕事だから。一度家に帰って着替えないと」

「送るよ」

「いいよ。まだ眠そうだし」

「いい、少しでも一緒にいたい。5分で支度するから待ってて」

 あんまりふつうに言うので聞き逃してしまいそうだったけど、大洋の出し惜しみしないストレートな愛情表現に顔が赤くなってくる。

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