みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 激情に翻弄された時間が去ったあと、大洋はわたしの髪を優しくなでながら、情事の激しさをとどめる、しわがれた声で言った。

「おれ、今の仕事辞めようと思ってる。ちゃんと辞められるまでは2,3カ月かかりそうだけど、そうしたら、おれは美羽さんだけのものになるから」

 わたしは大洋の広い胸に頭を預けたまま、その言葉を噛みしめていた。「だから、妹の喪が明けたら結婚してほしい」

 わたしも今朝、大洋と別れてからずっと同じことを考えていた。

 恋人というより大洋と家族になりたい。
 そう望んでいた。

 これからの人生すべてを、慈しみあいながら、一緒に分かち合いたい。

 それがふたりにとって一番自然な形だと分かっていた。

 形だけじゃない結婚。
 彼となら、ほんとうの関係を築いていける。

 そう確信していた。
 
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