みうとうみ ~運命の出会いは突然に~
「あのさ、純粋に好奇心で聞きたいだけだから、答えたくなかったら答えなくてもいいけど、なんでその仕事してるの?」
彼はわたしのほうを向くと、きっぱり言いきった。
「金」
そのときだけ、それまでの朗らかな表情が一瞬陰った。
晴れた日に太陽の前を雲が横切って、薄暗くなったみたいに。
でも、考えてみれば当然だ。
会ったばかりの人間に自分の内情を詳しく話す必要はない。
わたしは「そっか」と軽く相槌を打って、それ以上、突っ込んで訊くことは避けた。
でも、彼は話を続けた。