みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「ち、ちがうけど」と言おうと彼のほうに顔を向け、思わず息を飲んだ。

 右ひじをカウンターについて、右手に頬を預けたまま、口角を少し上げてこっちに目線を投げかけている姿に。

 アルコールが入って、目の縁がほんのり赤く染まってて……。


――何、この……なまめかしさは。うわ、結構ヤバいかも。

 やっぱ職業柄か、こうして改めて見ると、色気、半端ない。

 心拍数が急に上がってきた。


 前言撤回。
 “さわやか”なんて甘いもんじゃありませんでした。

 と、とにかく、話題を変えなきゃ。
これ以上、慣れない色っぽい話をしたら、倒れそう。

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