みうとうみ ～運命の出会いは突然に～

「土曜日？　仕事はあるけど5時上がりだったかな」

「じゃあさ、映画観に行かない？　この間、ポスターを見かけた映画、来週の金曜が封切りだから。一緒に行こうよ、ひとりで行くのはなんか虚しいし」

　映画？　
　これまで食事以外でふたりで出かけたことなんてなかったのに？

「い、いいけど。でもあたしなんか誘わなくても、他に一緒に行く人がいるんじゃない？」

「うーん。仕事仲間に声かけたけど興味ないみたいだし。やっぱ好きな人と行ったほうがいいかなって」

（えっ、好きって……）
　思わず聞きかえそうとして、寸前で気づいた。

　あー、この映画が＂好きな＂人ってことか。
もー、何考えているんだ、まったく。

　心のなかのごちゃごちゃした感情は表に出さず、わたしはそっけなく答えた。