みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 私的に個人情報を閲覧することはもちろん禁じられている。

 もし、ばれたら、わたしも堂島の二の舞だ。
 当然のことながら、正職員の話だってパーになる。

 でも、今のわたしにとって、大洋ともう一度会えるのなら、そんなことはどうでも良かった。

 わたしはメモに大洋の住所を書き写した。

 書き終えてほっとしたとき、後ろからの視線に気づいた。

 まずい。
 心臓がバクバクしているのがわかる。

 ゆっくり振り返ると、咲ちゃんがじっとわたしの手元を見つめている。

 やばい。メモ、見てる。

 わたしは小声で「咲ちゃん、お願い。誰にも言わないで」と手を合わせて懇願した。

 すると咲ちゃんは意外なことを口にした。
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