みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
 想像を超える出来事に、わたしはあぜんとした。

「大洋くんとは、弟の試合の応援に行ったときに1,2度会っただけだったけど、元気に挨拶してくれるめっちゃいい子だったなって、今でも覚えてます」

「……そんなことがあったの」

 咲ちゃんは心配そうにわたしを見た。
「美羽さん、顔が真っ青ですよ」
「咲ちゃん、どうしよう。わたし、大洋にひどいこと言っちゃった」

 雨の夜に大洋が訪ねてきたときのことを、すべて話した。 
 咲ちゃんは真剣な表情で聞いてくれた。そして言った。

「美羽さん、本当に大洋くんが好きなんですね」

「会えるかどうかわからないけど、とにかく今から行ってみる」

「もう止めたりしません。美羽さんの気持ちが伝わるように祈ってますね」
 そう言って咲ちゃんはわたしの手をそっと握った。

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