みうとうみ               ~運命の出会いは突然に~
「あのとき、あなたを傷つけることを言ってしまって、ずっと後悔してたの。わたしの言ったことなんて気にしてないかもしれないけれど、でも、どうしても大洋に謝りたかった。それだけが言いたくて」

 シルエットは動かない。
 それが大洋の答えだ。
 会いたくないという。

「それだけだから……じゃあ帰るね。さよなら」
 わたしはあきらめ、表の通りのほうに歩き出した。
 もう二度と会えないと思っていた大洋に気持ちが伝えられたのだから、これ以上望むのは贅沢だ。

 でも少し歩いたところで、後ろからドアが開く音が聞こえた。

「美羽さん……」

 振り返ると大洋が立っていた。

 でも、こちらに歩いてくる様子はない。
 わたしはすぐに駆け寄った。

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