激情に目覚めた御曹司は、政略花嫁を息もつけぬほどの愛で満たす

「ほん、とに…?おねえちゃ、の…代わりじゃ、ないの……?」
「違う。千花だけを愛してる」
「颯くん…っ!」

再びぎゅっと抱きしめられ、その腕の中で咽び泣く。
でもこれはさっきまでの涙とは違う、戸惑いながらも暖かな涙だった。

「事情も説明せず、気持ちを言葉にしなかった俺が悪い。こんな風に家を出ようと思うほど追い詰めてごめん…」
「…っ、ちが、わたしが、かってに……」
「でも、どれだけ千花が嫌がっても、もう離してやれない。離婚なんてしない。俺には、千花しかいないんだ」
「颯くん…」
「一緒に帰ろう、千花」

抱きしめたまま優しく髪を撫でて優しい声で言う颯真に、千花は何度もこくこくと頷いた。



< 147 / 162 >

この作品をシェア

pagetop